自尊感情は、自己肯定感情ともいえます。生きていく上で、とても大切なものであり、誰もがそのような感情をもつ権利がありますが、生育歴や環境の中で、その権利が奪われ自分への自信を失くし、人生に価値が見いだせない人はたくさんいることでしょう。
そんな状況=「生きづらさ」から少しでも解放されるように。
自分の抱えたもの、あるいは喪失してしまったものを、引き受けて前へ歩いていけるように。
そのような心身の状態になってこそ、自分と他者を大切にできるようになります。
エイズ予防教育もその中でこそ、効果を発します。
そして土地に暮らす人の文化やスピードを尊重しながら。
エイズ予防教育を越えた、エイズや貧困問題へのとりくみを私たちは行っていきます。
エイズ末期患者のノムサ
身寄りがおらず、ずっと売春で生計をたててきたノムサ。
エイズホスピスや他の施設からも飛び出してホームレスになったこともありました。
先後の月日を、ありのままの彼女を自分で受け入れること、まわりの人が彼女を愛していることを理解するためのっ会話に費やし、笑顔を取り戻す中で亡くなりました。
HIV陽性者のオーパ
まわりの友人たちが次々と亡くなり、次は自分の番ではないかと泣いて暮らしていました。
同時に、HIV感染をオープンにしていました。
治療行動キャンペーンに参加しながら、国のARVの無料治療が始まるよりも少し先に治療が受けられる機会をもてることが決まり、治療教育を地域で行う資格をとり、今では地域でエイズ教育をおこなっています。
予防教育を受けた10代のケレボヒーレ
幼い頃に家族の大人たち半分がエイズで亡くなるのを体験したケレボヒーレ。
自尊感情を育む体験や、エイズ教育を10年以上重ねてきました。
また学校をドロップアウトしないよう励まし続けました。
今では高校卒業資格を得て、大学に進学し、自分を大切にする交友関係を築いています。
エイズ孤児のンカンタ
HIVに母子感染したエイズ孤児のンカンタ。
エイズホスピスに一時は入院するまで体調不良になっていましたが、ARV治療が受けられることになり、回復しておばさんの元へ退院していきました。
入院中にたくさんの友たちが亡くなるのを体験し、退院してからも長年引きこもりになり、学校をドロップアウトしてからも家に閉じこもる日々が続きました。
カウンセリングを続ける中で、近所の電気工務店をボランティアで手伝うようになり、笑顔が戻ってきました。