南アフリカ共和国では、男性の亀頭包皮切除手術がHIV感染拡大を防ぐとの観点から、「米国大統領エイズ救済緊急計画」PEPFARが700万ランドの資金を援助して、全国で6つのセンターが手術を実施する予定だ。
このサービスを行うのは米国のNGO「家庭保健協会」Society for Family Healthで、実際には、同手術の拡大に力を入れているコミュニティーや非政府組織に対し、医療行為が委託される。新たに同手術を行う6のセンターは、クワズールー・ナタール州、ムプマランガ州、ハウテン州の各地域にあり、来年1月から2012年末までの期間を予定している。
家庭保健協会の代表のスコット・ビリー氏は以下のように述べる。「同手術の実施に対する助成金の受託に興味のあるNGO団体を探しています。非営利フランチャイズモデルの下、この複数拠点ネットワークが運営される予定です。標準化されたサービス・トレーニングであり、財政面でのサポートだけでなく、技術的サポート、マーケティングや教育のサポート、さらには品質保証サポートも行っていきます。すべての拠点が政府のガイドラインを満たすサービスを確実に提供するため、中央集権的な品質保証チームを設ける予定です。」
「この非営利団体のフランチャイズモデルは、商業的フランチャイズの適用です。実施する場所は違ってもどこでも同じ質のサービスが受けられるということです。我々のフランチャイズパートナーに対し、適任者の雇用を許可し、委任しています。そのため、フランチャイズパートナーが医師や看護師を雇用し、我々が教育を行います。」
クワズールー・ナタール、ムプマランガ、ハウテンの各州にはすでに同手術を行うクリニックがあるが、センターを設置する実際の現場については未定だ。
「現在は我々が働く地域について、各地域の保健担当と相談中です。政府の政策と連動した対応を実施していく必要があるのです。」
さらに、3地域でのサービスの拡大という選択は、投資対効果の観点と同様に、公衆衛生の観点においても戦略的な選択だとしている。
「一般的に、感染を予防できる人数を最大化したければ、HIV陽性者が最も多く、かつ伝統的に行われている男性の割礼が最も進んでいない地域を選ぶべきです。そういった地域で医療的な気当方非切除手術実施にリソースを集中することで、新規感染者を大幅に減少させることが可能で、さらには感染者の減少につながります。」ビリー氏は話す。
当初の予想では、6つのセンターとも初年度の手術数を控えめに見積もっているが、大きな数字になるだろう。
「一年目は57,000人の割礼実施を想定しています。2年目までに全拠点が立ち上がり、年間134,000名に施術することを目標としています。これは我々の保有するチーム数を基準に算出されており、各チームとも一日に40人に同手術を行うことが可能とみています。」
ビリー氏はさらに、サービスの拡大は近年の医療的男性器割礼の需要の高まり次第だとしている。
「クワズールー・ナタール州では同手術への需要が高いと認識しています。ズールー人の王が実施したことで需要が高まっており、大きな影響を与えています。数年前に王が実施した事実には非常に驚かされました。ズールー人の文化に、医療的な亀頭包皮切除手術を加えることにより、若者たちに、自分も施術すべきとの理由を与えました。こういった状況により、我々は仕事をしやすくなりました。もちろん、我々の提供するサービスにはカウンセリングも含まれており、部分保護について若者と話す機会があります。部分保護は、手術を受けても60%しか自分を守ることができないという事実です。しかし、ムプマランガやハウテンでもクワズールー・ナタールのような需要があることを願っています。」
研究結果によれば、亀頭包皮切除手術を受けた異性愛の男性は、HIV感染率が60%低くなるという。同手術は、コンドームなどのセーフセックスに向けた行動と併用することで効果を発揮する。
原題:Expanding Medical Male Circumcision
出典:health-e
日付:2011/10/27
URL:http://www.health-e.org.za/news/article.php?uid=20033315
(グローバル・エイズ・アップデイトより)
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