今年3月28日-6月26日の新たなエイズ患者報告数は136件で、これまで最も多かった前年同時期の129件を上回り、四半期ベースで過去最多だったことが9月27日、厚生労働省のエイズ動向委員会(委員長=岩本愛吉・東大医科学研究所教授)のまとめで分かった。エイズウイルス(HIV)感染者の報告数は217件で、前年同時期から46件減少した。
HIV感染者の感染経路は、68.2%(148件)が同性間の性的接触、18.0%(39件)が異性間の性的接触だった。一方、エイズ患者では、同性間の性的接触が50.0%(68件)、異性間の性的接触が31.6%(43件)だった。
また、今年第2四半期(4-6月)の保健所などで行っているHIV抗体検査件数は3万1553件で、前年同期の3万2011件から減少。相談件数も3万8784件で前年同期の4万181件から減った。
同日の委員会終了後の記者会見で岩本委員長は、新規エイズ患者報告数が増加したことについて、「早期検査をすれば、エイズ発症の前に発見できるが、検査を受けないためにエイズを発症してしまう方が増えている」と指摘。「早期発見は、個人においては早期治療、社会においては感染の拡大防止に結び付くので、HIV抗体検査や相談の機会を積極的に利用していただきたい」と述べた。
HIV感染後でも、治療薬で発症を大幅に遅らせることができるようになっているが、短期で発症するケースが増えると、こうした治療は難しくなる。
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