6月19日にアフリカ日本協議会主催で、
シンポジウム
~東日本被災者支援とアフリカ支援をつなぐ~
報告と提起
が開催されました。
報告者は5名。
1、在日ガーナ人のジョーさんが、ピースボートの石巻での被災者支援に参加したときの様子を
報告されました。
2、早稲田大学教員の岩井雪乃さんが、大学生の被災地でのボランティア活動について報告されました。
3、TAAA代表の久我祐子さんが、南アフリカでの図書支援の経験をいかした被災地支援について報告されま した。
4.ニバルレキレより小山が都内の避難者支援の取り組みについて報告しました。
5.東日本大震災女性支援ネットワークの田中雅子さんが、ジェンダーと多様性に配慮した取り組みについ て報告されました。
震災への支援と、アフリカ支援の共通点や課題、つながりなどを振り返る報告となったように
思います。
被災者の中へ入っていくことの難しさを体感する中で、アフリカで外国人だから受け入れてもらえている部分も大きいということも思い知らされたように各々が感じていることもわかりました。
以下、ニバルレキレの報告についてまとめてみたいと思います。
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1.都内にどれくらいの被災者がいるのか?
東京都によると、現在都営住宅に入居された被災者が3200人。
旧グランドプリンス赤坂(赤プリ)に入居されている800人は、月末が退去期限となっており、都は都営900戸と都内の旅館2000人分を用意して、対応する方針。他、区市町村での受け入れ者が約900人。
2.都内の被災者を支援している団体
東京災害者ネットワーク(とすねっと) ひろくアドボカシー(人権擁護)運動も含めて、生活相談をはじめあらゆる相談にのっていく、弁護士ら専門職種を中心としたボランティア組織。
東京PSW協会 被災者の心のケアを行なうハートケア相談をスタート
ニバルレキレ 上記2団体と3月の時点から連携をとりながら、独自の活動を続けています。
3.ニバルレキレの南アでの活動
南アでの活動の中に以下の3つがあります。
(1)HIV陽性者サポートグループの運営の支援
(2)エイズの影響を受けた様々な人・家族への個別支援
(3)コミュニティワークによる、住民の手によるエイズ孤児プロジェクトづくり
4.ニバルレキレの震災における活動
南アでの上の3つの活動に以下の3つの活動が対応しつつあります。
(1)わかちあいグループ@東京=自助グループ
集まった人たちでの「わかちあい」を重視。「わかちあえる場所をもつこと」の大切さ。
=南アのHIV陽性者の当事者グループの支え合い・アドボカシー運動への参加から実感する手ごたえ。
日本では自助グループで有名なのはアディクション(アルコール依存・薬物依存など)の回復者ミ ーティングです。そこでは、言いっぱなし・聞きっぱなし をルールに、回復の12のステップを 各々がすすんでいきます。
南アのHIV陽性者の当事者グループでは、もっと積極的にHIV感染というショックな出来事とどのよ うに向き合っていくか、生活の自己管理の工夫や、HIV陽性者としての生活に役立つ有益な情報や社 会資源について、治療へどうアクセスしていけるのか、話し合います。そして寄り添い支えあうこ とで、一人一人のHIV陽性者が孤立せずに、エンパワメンとされていくのです。
この双方のグループの良い部分を、取り入れた、グループ活動を「わかちあいグループ」では行な っています。
グループでは発言の秘密保持。誰かの発言を非難・反駁・否定しないこと。1人が演説や講釈をし ない。十分に話しきるまで傾聴しあう。お互いがしっかり話せるように思いやる。といったことを 大切にしながら、運営しています。
①わかちあいグループでは最初に、呼びかけの対象者を整理しなかった時期がありました。
②少しずつ、対象者を長期的な支援体制の創出のために、精神保健福祉士を中心に声かけしながら、 同時にインターネット上での声かけに応じて集まってくださる方も含めてのグループ活動になって いきました。
③そして②のメンバーが主催者となっての、被災者のためのわかちあいグループが誕生しました。
(2)個別家庭の支援 ③で出会った被災者の方を中心に個別家庭への訪問や電話相談を6月から
スタートさせています。
(3) (1)の③を実施するにあたって、開催地の商店街を巻き込んでいきました。
地元ボランティアの誕生です。
また、今後、個別家庭を支援する中で、地元の社会資源やキーパーソンと私たちもつながっ ていく必要があります。
ニバルレキレは、エイズとともに生きる人たちとの活動の中で、メンタルケアと生活支援をつうじての、当事者のエンパワメントを何よりも重視してきたので、小さな活動ですが、同じような小さな活動をコツコツと、東京で被災者とともに歩み、おこなっていくことができると考えています。
何よりも、エイズ禍という非常事態の中で、アフリカ人がどのように工夫し支えあってきたか。アフリカから震災において学ぶことはたくさんあるように思います。
それから、人が忘れ去る頃にも被災者は残ります。忘れ去る頃からがむしろ本格的な心の面を中心とした支援が必要とされるのかもしれません。
「忘れれしまってはいけない」ということの中に、アフリカに通じるメッセージがたくさんあるように思っています。
わかちあいグループは、避難されている被災者の方だけでなく、東京や近県にもとよりいる方で、震災がなにかきっかけとなって、孤立感やストレスや不安、とまどい、疲れなどを感じている方、支援する立場にある医療福祉職の方などに、ぜひこれからも参加していっていただきたいと思います。
また、被災者の方の個別相談、お近くへの伺ってお話を伺うなどの活動をしておりますので、
ご希望される方は、 wakachiai@hotmail.com までご連絡ください。
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他の方の報告も含めたシンポジウムの資料をご希望される方は
アフリカ日本協議会までお問い合わせください。
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