日本を含めた先進国ではHIVは早くに自分の感染を知り、ARV(抗レトロウイルス)薬の治療を受けることによって十分健康を維持することのできる慢性疾患の1つとなってきたHIVエイズ。
南アを含め南部アフリカでは長い間貧しい人たちが効果的な治療を受ける権利を手にすることができずに、多くの命が失われてきました。
南アでは2004年4月からようやくARV治療の公費負担が始まりましたが、2009年末で必要な治療を受けることのできている人は37%にすぎませんでした。
2012年10月にはやっと、必要な人の80%がARV治療を受けることができているという統計になりました。
まず、コミュニティを調査し、HIV/エイズのその土地での状況をつかむこと。
HIV/エイズに感染しない方法=「正しい知識」を広めていくこと。
秘密を守ることを徹底して、人々が検査を受けに行く動機づけをしてくこと。
を丁寧に行うこと。
精神的なサポートを行うこと。
適切な医療や保健サービスへつながるよう支援すること。
HIV/エイズへの誤解をなくしていくこと。
(たとえば、南アでは「呪いをかけられる」と信じる人が多い。)
人権擁護の活動(アドボカシー)をしていくこと。
コミュニティで活動するエンパワメントされたHIVアクティビストと連携を図り、
タウンシップの中でのエイズ教育や
HIV陽性者サポートグループの活性化を促す活動を行なっています。
HIVアクティビストとは? 自らがHIV陽性であることを公表するだけでなく、他の陽性者をケアする活動やコミュニティのためのさまざまな活動、政府や海外に向けて適切な治療を受ける権利を求める活動をしたりするHIV陽性者たちのこと。
HIV陽性者サポートグループとは? HIV陽性者が十分に疾病を理解し自己管理しながら、よりよい生活の質を確保しHIV感染という事実を乗り越えて力づよく生きていくための精神的なサポートを提供しあう自助グループ活動。 HIV陽性者である当事者自身がグループを組織して行なっていくものと、クリニックの職員など支援者がイニシアチブをとっていくものと2種類がある。 |
公立のクリニックや病院、エイズホスピスなどと連携をとり、自らの感染を知ってまもないHIV陽性者の心理的サポートを行い孤立を防ぐとともに、HIVを受容していく過程を支えます。
生活上のアドバイスや社会保障など受けられる権利を案内しながら、一人一人のHIV陽性者の自尊感情の回復(エンパワメント)をサポートします。
家族の中でHIV陽性者が孤立しないよう、家族自身のHIVエイズへの理解を深め、誰もが自分のステイタスを知ること(自分がHIVに感染しているかどうかをきちんと知ること)ができるよう、家族全体へのエイズ教育を行います。
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エイズ教育とは?
HIVは完治する病ではなく、治療はずっと継続しなければなりません。特にARV治療は一度開始したらずっと服薬を継続しなければならず、その継続に生きるための強い意欲と病への正しい理解が必要とされます。また感染後の生活面での自己管理の知識・ARVその他治療薬への知識や日和見感染症への正しい理解、感染によって人生をあきらめずによりよい治療へのアクセスしようという動機づけがとても大切です。
またHIVエイズとは感染症であり、HIV検査を受けない限りは自分が感染しているかどうかを知ることができません。感染する可能性が誰にでもあることを知り、陽性とわかった人のパートナーだけでなく家族全員がHIV検査を受ける勇気をもつこと、予防のための知識を学んでいくことが現代を生きる私たち全員に求められています。 |
南アフリカではHIV陽性者のうち免疫の低い(CD4カウント250以下)の人は障害者手当を受けることができますが、そのような社会保障制度を知らない、あるいは手続きがわからないHIV陽性者がたくさんいます。必要なサービスを受けるために陽性者自身が行動できるよう手助けしていきます。
家族を守る働き盛りの年代が一番HIVの影響を受けますので、収入を絶たれた場合に衣食住がきちんと保障される環境も考える必要があります。家庭菜園づくりや緊急時の必要な物資の提供、薬や保健用品の提供を行っています。
HIV陽性者の家庭菜園づくりは、HIV陽性者サポートグループのメンバーと一緒に行い、当事者同士の助け合いの輪を広げるようにしています。