ニバルレキレが大切にしているのは、ネットワーキングです。
アフリカ人社会は助け合いの文化が息づいているため、仮にきちんとした事務所や団体がない場合でも人と人がしっかりとつながっていることによって、いざという場合に誰かがサポートされる、周囲が大きく動く、ということが多くあります。
例えば、HIV陽性であることを隠して暮らしていた人が、他の地域の生き生きとしたHIV陽性者たちとの出会いの場をきっかけに、希望を見出す。
ラジオやテレビ、インターネットやチラシの情報よりも、人から直接伝えられる言葉や情報をタウンシップの多くの人が信頼する傾向にある。
草の根の活動を目指している若者が、歴史の長い草の根団体と交流することによって、刺激をうけて新しい活動のスタートを切ることができる。
出会いの連鎖によって、コミュニティ活動への住民参加が促されていく。
あくまで主役は地域住民であり、私たちは側面から支援する立場。
触媒(しょくばい)のような役割。
コミュニティのリーダー(①自治体としてのリーダー②相談を受けることの多い隠れたリーダー③住民からの信頼の厚い、地域のシンボルのようなリーダー)と協働していくこと。
ときに、地域にどんな問題があるのか、住民にとっての問題発生の原因が何なのかを知るには長い期間をかけての調査が必要。
南アの都市部のタウンシップやスラムはアパルトヘイトの負の遺産でもあるので、コミュニティの力が弱い。長い期間をかけて活動をしていく中で、住民の間での結束力を高めていく。
コミュニティ内の様々なイベントや、他の草の根団体の活動に参加していくことによって、マンパワーのネットワークを作っていきます。
写真は Let us grow のエイズ孤児を支援するスタッフによる活動ミーティングに、ニバルレキレも参加させてもらっているところです。
ネットワークを持つ必要があるのは地域で暮らす住民自身ですので、ネットワークづくりの活動の際には、必ずサポートグループのHIV陽性者やエイズ遺族、コミュニティのリーダーなどと一緒に行動するようにしています。
写真は、サポートグループによる自主的な訪問ケア活動に自転車が役立つということで別のタウンシップでリサイクル自転車の提供やコミュニティづくりを行っているNGOを皆で訪問したときのものです。
草の根団体のリーダーや仲間、そしてHIV陽性者や遺族を、彼らの住むコミュニティ以外のタウンシップやスラムの同じ状況にある当事者とつないでいきます。
新たな情報や知恵、ネットワークの醸成を手助けしていきます。
コミュニティで突発的かつ大きな問題が生じた場合には、各タウンシップのコミュニティリーダーと連携しながら最も被害を受けている人・場所での支援活動を行なっています。
南アフリカで現在多いのは、タウンシップやスラムでの外国アフリカ人排斥の暴動(ジェノフォビア)です。
他の外国アフリカ諸国から流入している人たちが、格差社会の中での貧困によるストレスから生じる暴力や犯罪の対象になりやすいのです。
どんな場合でも、より弱者が対象とされてしまいます。
事例:2008年のジェノフォビアでは、ニバルレキレの活動地域は被害が大きかったのですが、各タウンシップやスクウォッターキャンプ(スラム)のコミュニティーリーダーと密に連絡をとり、互いに助け合いながら、コミュニティのツォツィ(不良)たちが状況に便乗して暴動を起こさないように食い止めることができました。
また私たちの活動地域はハウテン州の都市部ですが、ムプマランガ州の僻地に暮らす、レイプによって感染してしまった女児をARV治療とケアにつなげました。このときも、日頃のネットワークが駆使されました。