私たちは、南アフリカ共和国ハウテン州の大都市ジョハネスバーグに隣接する、エクルレニ市のタウンシップ(旧黒人居住地区)やスクウォッターキャンプ(不法居住地区・スラム)で、エイズとともに生きる人たちと一緒に活動しています。
エクルレニとはツワナ語で「平和の地」を意味します。ジョハネスバーグの東に位置するこの市は1880年代に金鉱脈の発見によって発展しました。250万人以上の人口を抱えています。大都市ジョハネスバーグ、また南アの玄関となるジョハネスバーグの空港の労働を支えている地域です。
このエクルレニ市の中に無数のタウンがあり、タウンは数多くのタウンシップ(アパルトヘイト時代の旧黒人居住区)を抱えています。そしてそれらのタウンシップの周囲には無数のスクォッターキャンプ(不法滞在の居住地区・スラム)が広がっています。
スクウォッターキャンプ(スラム)は法律に元づかない、本来行政に認められていない地区です。
タウンシップの大きな違いは、インフラが整っていないということです。
電気や水道は家庭にはとりつけることができません。
ですので、ロウソクの火で火事になることも多く、夜間の暗闇の中で犯罪が起きる確率もタウンシップよりも多くなります。ただ、治安の悪い地区には街灯が立てられている場合もあります。
家庭によっては、電気や水道を無許可でひいている場合も見られます。
また簡易型の公衆トイレが設置され、汲み取り業者が来る地域もありますが、たいていはゴミの山ができ、シャック(掘立小屋)の周辺を汚水が流れています。
シャック(掘立小屋)がスクウォッターキャンプということではありません。
シャックで住んでいる家庭はタウンシップにも多く存在しています。
あくまで不法滞在の地区かどうかということで区別されています。
選挙の時期には、行政がスクウォッターキャンプの人のための簡易事務所を設置して、投票ができる工夫が行われています。
それぞれのスクウォッターキャンプには、住民によって「アレキサンドラ」「アンジェロ」「ウィニー・マンデラ」「ラマポーザ」など名前がつけられています。
スクウォッターキャンプの住民は、優先的に政府の建設しているRDPハウスに入れるということになってはいますが、実際には待機は10年以上かかる場合も多かったり、移動して無人になった掘立小屋に地方や外国アフリカからの新しい住民が流入してしまうので、スクウォッターキャンプは全くなくならない状況が都市部の問題になっています。